『アート・イン・ビジネス』出版記念イベント

2020年1月29日

『アート・イン・ビジネス』出版記念イベント@代官山蔦屋

 

『アート・イン・ビジネス』とは、アートをビジネスにどう取り入れるか、その実践法を考察・実践している、「美術回路」のメンバーによって執筆された書籍です。

www.bijutsukairo.com

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アート・イン・ビジネス出版記念イベント

 私は実はイベント当日まで『アート・イン・ビジネス』という書籍が発売されていることすら知らなかったのですが(💦)、当日偶然にもTwitterでイベント開催を知り、イベント1時間前に予約申し込みをしました。

 久しぶりに来た代官山蔦屋。チャリで来た(マジ)。

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「アートパワー」…とは?

 アートをビジネスに取り入れるにはどうしたらいいのか。その実践のためのキーワードであり、今回のトークの中心ワードでもある言葉が「アートパワー」でした。

 「アートパワー」とは、アーティストが有しているような、問題提起力・想像力・実践力・共創力をいうそうです。この定義によると、まさにアートパワーは、ビジネスの世界で求められている能力。アートに触れることで、またはアーティストと関わることで、アートパワーを培い、率いてはビジネスの能力も向上させることができる。そういうアートの力を示すことで、アートをビジネスに取り入れるきっかけとなるのではないか。ということだと私は解釈しました。

 ビジネスというのは、結果・利益・効能を求める性質であるので、アートの効能をある程度示さなければならない。けれど、その問いは「アート」とは何か、という根源的な哲学的な問いでもあるもので、アートの利益・効能を語るのは非常に難しいと感じましたね。例えばスポーツ業界は、アート業界よりずっとビジネスとの結び付きが一般化していて、スポンサーシップが確立しているわけですが、スポーツの利益・効能を語るのに比べてアートの効能を語るのは、非常に抽象的・感覚的な言葉に頼らざるを得ない。アートの良さをどう語るか、は今後私にとっても最大の課題となりそうです。

 さらに、トークイベントの中では「アートの内在化」という単語もキーワードとなっていました。私解釈ですが、アーティストの有する人生観・世界観を追体験、共鳴化することによってアーティストが有するアートパワーを自らにも取り込み、獲得する作業を「アートの内在化」といっているそうです。

 うーん、これも非常に難しい。まず、”アートパワー”をアーティスト自体が備えているのか、アートパワーを有しているアーティストがどれ程いるのか、という疑問が私には生じましたね。私自身がアーティストの接点がまだあまりないので、そう感じてしまうのかもしれません。

 また、「アートの内在化」の作業にあたっては、特に現代アートでは、アート作品を見て作家の世界観・思想を解釈するという言語化の作業が不可欠なような気がするのですが。「わー、きれいだー」「なんかパワーを感じる」で終わってしまってはいけないという…。美術は言語に頼らないからこそ良さがあるのに、美術鑑賞における言語化の作業って、それって美術の敗北ではないか…?という疑問があるんですよね。視覚的な感性を言語で細断してしまってよいのか。

 

 というように(?) 美術回路さんは、アートの本髄に迫ろうとする、正解のない難しい世界に取り組まれようとしているんだな、という発展途上性を感じました。

私自身まだ『アート・イン・ビジネス』を読めていないので、理解が不完全なところがあるかもしれません。イベント中のトークは「アートとは何か?」という哲学的な問いに迫るものだったので、非常に触発された2時間でした。

 今後の美術回路さんの取り組みを応援しています!

 

アート・イン・ビジネス -- ビジネスに効くアートの力

アート・イン・ビジネス -- ビジネスに効くアートの力